ジュリエットに愛の花束を。



……~~♪

三度目の着信に、あたしは目の前のお兄ちゃんの背中を睨みつけて……首を傾げる。


「……お兄ちゃん、電話したよね?」

「してないけど。さすがにそこまでして縛りつけたりしたら、おまえは家出騒動するだろうし」


……今の感じでも十分したい気分だけど。

でも、じゃあ誰……?

さっきから20分間隔でかかってくる電話に、慌ててケータイを開いて……小さな液晶画面を見つめた。

登録外の11桁の数字と、にらめっこしてから電話に出る。


「はい」

『あ、俺、俺!』


……詐欺?

に、してもすごい勢いだけど。勢い勝負?


「心あたりありませんので、失礼しまーす……」

『あ、おいっ! 切んなって! 俺、俺! 松永!』


……詐欺のがよかったかも。なんて思いながら答える。


「ああ……なんで番号知ってるの?」

『皐に聞いたんだ』

「へぇ……で、なに? わざわざかけてくるって事は急用だよね?」