ジュリエットに愛の花束を。



「盛ってあったとしても、あたし食べてないし。あ、それ、樹食べていいよ」

「……なんで俺?」

「……学食のプリンは食べない事にしてるから」

「なんで? 瑞希、プリン好きだろ」

「なんでも。だから樹が食べていいよ」


その後しつこく理由を聞く樹とふざけ合って、ようやく樹がプリンを食べ始めた時。

ケータイが鳴った。

しつこく鳴る着信音に、あたしは軽くため息をついてから立ち上がる。


「帰るね」

「……お兄さん?」

「多分ね」


察した樹に頷くと、樹が時計に視線を移す。

そして、21時20分を指す時計を見てから樹も立ち上がった。