「いいだろ。それくらい」
「無理やり好きのド変態」
悪口を言われたのに、樹はなぜか微笑む。
「そのド変態が好きなんだろ?」
いつでもあたしの気持ちなんか見透かせるくせに。
わざとそんな風に聞く樹に思わず笑みが漏れた。
意地悪に笑う樹の腕に自分の腕を絡めて、樹を見上げて笑顔を作った。
「運命とか信じちゃうくらいになら、好きみたい」
返ってきた樹の笑顔に、ある事を思い出して聞く。
「そういえば、バルコニーの上のお姫様を見上げる王子の話、なんてタイトルだったの?」
「珍しいな、瑞希がまだ覚えてるのとか」
「樹の性格が移ったんじゃない?」
「どうせならきれい好きなとことかが移ればよかったのに」
からかう顔をする樹を、絡めた腕で押しながら眉をしかめる。



