ジュリエットに愛の花束を。




「あ、レアうさぎ」

「やっぱ瑞希のだったんだな、それ。部屋に落ちてたんだよ。

つぅか、なんだよ、それ。林檎うさぎとはちょっと違うよな?」

「うん。願い事が何でも叶う、レア林檎うさぎ」


色んな事が立て続けにあったせいで、すっかり忘れてた。

手の中に戻ってきたレアうさぎは、相変わらず愛らしい微笑みをあたしに向ける。


「へー。何でもってすげぇな。なんかお願いしたのか?」

「ううん。まだ。……でも、もう叶ってるのかも」


そう呟いて、手の中のレアうさぎを握り締めたのに。

だけどそれは、樹によって再び取り上げられる。


意味が分からなくて見上げていると、レアうさぎをテーブルの上に置いた樹が、口の端を上げて笑みを作った。


「約束、覚えてる?」

「うん。言われた通り、『RBP』に行っておじいちゃんに会ったじゃん」

「それじゃない方の約束。……早く俺のモンに戻って」


色気をまとう樹の瞳に捕らえられて、ドキドキと胸が騒ぎ出す。