ジュリエットに愛の花束を。



「あ、ねぇ! 最新情報ー!! 

なんとあの学食の幻プリンに、メープル味が出るんだって! 今日から一ヶ月、一日限定30個!!」

「……なんか、どうせ売り切れるの分かってるんだから限定とかやめればいいのに」

「分かってないなー。限定だから燃えるんじゃん! 

って事で、今日からまた新たなプリン奪略戦が始まるね。男にしたらロマンだよねー」

「……プリンにロマン? 可愛すぎない?」

「瑞希はチャレンジしないの? プリン奪略戦」

「うん。しない」

「えー、ロマンは? 女だってロマン持とうよー。買い占めて倍値で売って儲けようよー」

「……それ、ロマンじゃないし。商売の匂いがぷんぷんするけど」


その日の午前中、あたし達だけじゃなくて、他のグループの話題までメープルプリンが独り占めしていた。

行けば買えるなら食べてみたいけど……。

並んだり押し飛ばされたり踏み潰されたりしてまで、食べたいとは思わない。


あんなにロマンロマンうるさかった皐も、時間がたつにつれて、どんどん面倒になったらしく、昼休みのゴングが響いても動こうとはしなかった。