ジュリエットに愛の花束を。



「樹、今日も20時には帰ってくるの?」


講義は大体夕方には終わるけど、樹には部活があるから帰りは結構遅くなったりする。

特にサークルにも何にも入っていないあたしは、そのまま直帰するから、いつもは樹の帰りを部屋で待ってるんだけど。

で、帰るのが面倒になって、お泊りセットを色々持ち込むようになって……いつの間にか半同棲生活の出来上がり。


「多分な。でも瑞希、門限22時だろ?

帰る時間考えたら一時間ちょっとしか会えないけど……それでもいい?」

「……」


そう言ってあたしの顔を覗き込んできた樹は……意地悪な笑みを浮かべていた。

これで頷けば、「一時間でもいいから一緒にいたい」って言ってるようなもんだし。

素直に頷くわけにいかないあたしは、樹に切り返す。


「うん。樹が会いたいっていうなら待っててあげてもいいよ」


そう言ったあたしに、樹は「素直じゃねぇなぁ」なんて言って笑った。


「ねぇ、結局プリンどうしたの?」


思い出して聞くと、樹は少し黙って。

面白くなさそうに返事をする。