「えー、さすがに病人には手出さないってー」
「嘘ばっか。あんたが、女を見ればヤル事しか考えないような奴だって事はバレてるんだからね」
「えー、んな事ないってー」
「『片桐、つらそうじゃん。あ、そこで休憩していこっか』って、ラブホ連れ込むあんたの姿が目に浮かぶんだけど。
っていうか、語尾伸ばさないでくれる?
男がなよなよしてみっともない」
言いたい放題の皐の声を聞きながら、床に固定されていた視線を上げる。
そして、ぐっと結んでいた口を開いた。
「小島、送ってって」
皐の驚きを通り越した顔と、小島の嬉しそうな顔が、一気にあたしに向く。
「瑞希?! 熱でおかしくなった?」
「りょーかーい。瑞希、肩貸すから俺によっかかってていいよー」
『瑞希』って呼び方を変えた小島は、もうヤレるって確信したに違いない。
うきうきした顔でバレバレだし。



