「……っ」
しゃがみ込んだまま床についた両手を握り締めた。
床に落ちていく涙を、滲んだ視界で見ていた。
昨日、別れを切り出したばっかりなのに……っ。
もう、寂しくて仕方ない。
当たり前に触れられる距離にいたのに。
樹の笑顔に、触れられる距離にいたのに。
もう、手を伸ばしても届かない。
手を伸ばす事は……、許されない。
例え、樹が手を差し出してくれたとしても。
それに応えちゃ、いけないんだ。
今回だけは、
樹がくれる優しさに、甘えちゃダメなんだ。
あたしを甘やかす、大好きな樹の手に
触れちゃダメなんだ―――……。
もう―――……。



