昼休み開始のチャイムが鳴って、立ち上がった時だった。
フラついた身体にバランスを崩して、派手な音を立てて倒れた。
ガタン! っていう音に、教室内で話していた生徒達の声が一斉にやむ。
あまりに一瞬のことで、自分ですら何が起きたのか分からなかったけど……。
痛み出したおでこに、ようやく転んだ事に気付く。
「いったぁ……おでこ打った……」
「おでこっていうか、全体的に大丈夫?!」
ざわつき始めた教室の中、横にしゃがんだ皐が心配した顔を向ける。
そして、あたしの腕を掴んだ。
昨日、樹が掴んだ場所と同じ場所を―――……。
「……―――」
思い出した感触に、一瞬忘れていた樹との事が一気に蘇った。
樹の不安そうな顔。
優しくて力強い腕。
洗剤の匂いのする、服。
あたしを呼ぶ、声……。
『瑞希』
優しく響く幻聴が、あたしを包み込んだ。



