お兄ちゃんのいるあの家に逃げ込んだ時点で、優しい樹が気を使ってうちまで来られないって事を分かってた。
分かってて……逃げ込んだ。
樹が追ってこられない場所に。
樹は、……どんな気持ちで昨日の夜を過ごしたんだろう。
追っていけない自分がもどかしかったりしたかな。
あたしにムカついたりしてたかな。
それとも……。
別れを受け入れて、気持ちを切り替えようとしたかな。
あたしと
どっちがつらかったのかな……。
そんな事を考えて、寝不足と熱でふらつく頭を軽く叩いた。
一睡もしてない頭は、熱のせいでぼんやりとしてるのに、樹の事だけは鮮明に思い出させるから困る。
まぁ、樹の事を諦めたり、忘れたり出来ないことぐらい、ずっと前から分かってたことだったけど。
分かってて……あの選択肢を選んだんだけど。



