「っ……い、つき…っ……」
『なに泣いてんだよ。おまえ、意外と泣き虫だよな』
「いやだよ……、やだ…っ…、」
『ばーか。俺だって嫌だし。離れないから安心しろって』
「やだぁ……っ、…、……いつき……、いつ…き、…」
『分かったから、何度も呼ぶなって』
勝手に聞こえてくる幻聴が、よけいに涙を溢れさせる。
『ダメ。ベッドまで大人しく運ばれろ』
『責任とって一生減らず口叩いて駄々こねろよな』
「……っ、……、」
樹の優しい声が、耳に張り付いたみたいに離れようとしなくて。
止まらない涙に、ついにしゃがみこむ。
街頭が、心細く暗闇を照らす中、降り出した雨があたしを濡らしていった。



