そこで、樹に手を掴まれる。
あたしは振り返らないで……、振り返れないで、足を止めた。
「……確かに、おまえがなんて言うか想像した。きっと、俺の将来を思ってそう言うだろうなって思ってた」
「だから、それがあたりだって言って……」
「『無理して自分の気持ちを抑えて』な。
今みたいに意地張った顔して、唇噛んでそう言うだろうなって思ってた。
……おまえの嘘なんか、すぐ分かんだよ。嘘つくな、瑞希」
振り向いていないのに。
樹からあたしの顔なんか見えないハズなのに……。
樹が言うように噛んでいた唇を、もう一度きゅっと噛み締める。
ここで諦めたら、……甘えたら、ダメだから。
「瑞希」
真剣でいて、でも、どこか優しい樹の声。
大好きな……、声。
大好きな―――……



