「樹は……、今回の事を全部聞いたあたしがどんな答えを出すか、分かってたから何も言わなかったんでしょ……?
だから、あたしに気付かせないようにしてたんでしょ……?」
「……」
「……ばかじゃないの?」
樹の腕に手をかけて、解く。
後ろに立つ樹を振り向かないまま、歯をきつく食いしばった。
「あたりだよ、……樹の想像通り」
「……瑞希、」
「陸上よりも、就職よりも、女をとるとか。
男としてどうなの、それ」
「……」
「……そんな男、いらない」
「みず、」
「いらない」
胸が、ムカムカする。
いつも、気持ちの全部を素直に言葉にしてたから。
我慢した気持ちがあたしの中で暴れて、身体の中から出て行こうとする。
傷つけられたみたいに痛む胸だとか身体を感じて、もう一度大きく深呼吸をしてからカバンを持って玄関に向かった。



