「確かに、『MSC』から話はもらった。もう2ヶ月前くらいになるけど。
だけど、断ったのはあくまでも俺の気持ちの問題であって、瑞希が気にする必要なんかない。
俺の問題だから」
「それって、あたしには関係ないってこと? 入ってきてほしくないってこと?」
「違うよ。そうじゃなくて……例え、瑞希に何を言われても、俺の答えは変わらなかったから。
話さなかったことは、謝る。
けど……瑞希を不安にさせたくなかったんだ」
「自分は、不安だったのに?」
あたしの言葉を聞いた樹が黙る。
抱き締めた腕をそのままに、何も言わない樹に続ける。
「不安だったんでしょ?
本当に迷ってたでしょ?
だから……、言えなかったんでしょ?
あたしに反対されたら、意思が揺らいじゃうから。
だから……、言えなかったんでしょ……?」



