「……松永の気持ちは分かったし、ケガで走れなくなったのは、本当につらかったと思うけど。
だからって、なんで瑞希との事を反対されなくちゃなんねぇんだよ」
すっかり静かになったアリサさんとあたし達の視線を受けた松永が、きゅっと唇を噛み締める。
そして、樹を見据えた。
「俺の親父は、松永賢太郎っていいます。
『MSC』の社長です」
「MSC」って……、松永科学コーポレーション?
マツナガ・サイエンス・コーポレーションで、略して「MSC」の?!
ロボットがCMやってる、あの?!
松永って……えぇええっ?!
あたしでも聞いた事のある有名な会社。
確か、駅伝関係だとかマラソンに提供してて、陸上関係の放送を見てるとよく名前を見かける。
っていうか、松永って社長息子?!
アリサさんってお嬢様?!
えぇー……。



