「瑞希は素直じゃないけど、そんな悪い奴じゃない。
けど……椎名先輩にはっ……」
「おまえ、さっきからどういうつもりで瑞希をバカにしてんの?
俺達の事よく知らねぇくせに見下すのやめろよ。すっげぇ不愉快。
……それ以上言うつもりなら、殴られる覚悟のうえでやれよ」
樹に睨みつけられた松永は、ぐっと言葉を呑んだ。
だけど、両方の拳に力を入れて……覚悟を決めて樹を見る。
「俺っ、椎名先輩の事は、高校の時から知ってました!
憧れてて、大会だって毎回見に行ってる!
大学に入って陸上やめたって聞いてたけど、また走り出した時には本当に本当に嬉しかったんですっ」
松永の思いがけない告白に、変な空気になる。
怒ってた樹も、怒りは消えてないものの、もうキレるとかっていう感じでもなくて。
興奮する松永の言葉を、しかめ顔で聞いていた。



