「あたしも。もっとぶりっこだとかなら嫌いになれるし、悪口だって思いつくのに。
どこかあたしに似てる気がして……こんな世話までやいちゃってるし。
まぁ、あたしは片付けられる女だけどね」
「……あたしだって片付けたい気持ちは人一倍強いんですけど。
ただ、体力と集中力が伴わないだけで」
あたしが言ったいい訳に、アリサさんは「本当に減らず口よね」って笑う。
だけど、すぐにその表情を落ち着いた微笑みに変えた。
「瑞希さんが原因かな」
「なにがですか?」
「椎名くんに惹かれた理由」
「え、あたし……?」
「そう。あたし、女の子らしい演技とかしてるけど……本当はね、素のままのあたし自身を好きになってくれる人を探してるんだと思う。
自分のいいトコロも悪いトコロも、そのまま受け入れてくれる人。
だから……瑞希さんと付き合ってる椎名くんに興味が湧いたの」
アリサさんの視線の先で、紅茶の湯気が白く浮かぶ。
その様子を眺めているのか、それとも自分の中の気持ちを見つめているのか。
アリサさんはマグカップに入った紅茶を、じっと見ていた。



