「ちょっと、まだ凹まないでくれる?
うっとおしいのもあるけど、まだ話途中だから」
落ち込んだあたしを面倒くさそうに見たアリサさんが続ける。
「『でも、瑞希がどんなに部屋を散らかす女でも、ずぼらでも。瑞希に限っては、当たり前に許せるから問題ないし』って。
ノロケでしょ。あの椎名くんがそんな事言うなんて思わなかった。
てっきりクールな人だと思ってたのに。
あんな事、さらっと言うとは思わなかった」
そう言ったアリサさんの横顔は、意外にも落ち着いていた。
あたしだったら好きな人に振られたら、こんな風に話せないのに。
しかも、あたしは樹の彼女で、きっとアリサさんが一番ムカついてる相手なのに。
「樹がクールなのは、外面だけで……実際は結構サムい事さらっと言うんですよね。
あたしも最初はびっくりしました。
……想像と違ってガッカリですか?」
遠慮がちに聞くと、アリサさんは小さく笑う。



