お兄ちゃんはポカンとしてから、眉を潜めたままポツポツ話し出す。
「松永が、おまえと椎名を別れさせたいって……なんでだ?
おまえの事好きじゃないんだろ?」
「うん。だから、もしかしたら、影に松永を操ってる女がいるのかなって考えたりしてただけ」
こうなったらもう白状するしかないと、淡々と事情を説明する。
大げさにしたくないから、「なんでもない事でしょ」って言うようなニュアンスで。
「そういう事だから、本当に大丈夫……」
「大丈夫なわけないだろっ!
女は、普通男に迫るもんだろ。それをわざわざ女のおまえの方から攻めてくるっていうのは……かなりやばい女だろ。
やり方が卑劣すぎるし」
「え、普通は女って男に行くの?」
「浮気された場合だとか、男の場合、彼女よりも彼女が浮気した男を憎むんだよ。
で、女はダイレクトに彼氏を憎む。そういう傾向にあるって上司が言ってた。
あくまでも素人が言ってる事だけどな。
なんか結構あたってると思ったから覚えてたんだ」



