「やっぱり椎名が原因か?」
昨日突き放したハズなのに。
またしても聞いてきたお兄ちゃんに、少しうんざりしながら首を振る。
「だから、違うってば」
「じゃあなんでだ?」
「だからさー、それ言わなくちゃいけないの?
人間誰しも人には触れられたくない事だってあるんだよ。そういう事」
「どういう事だよ。今まで散々くだらない事につき合わされてきた俺に、恥ずかしいも何もないだろ。
おまえが野良犬にちょっかい出して追い掛け回されてる時だって助けてやったし、適当に男遊びして「別れてくんない」とか言うから俺が間に入ってやったり……。
それにおまえ、最悪なのは、ラブホから俺に電話してきて……」
「ストップっ!! そんなのっ、もう昔の事じゃん!! 掘り起こさないでよ」
「とにかく。そんな面倒まで見てやった俺に話せないっていうのはおかしいだろ」
そこまで言ったお兄ちゃんは、ふぅっと一つ息を吐いてからあたしを見る。
心配そうに歪めた顔で。



