ジュリエットに愛の花束を。



「あの……、本当にありがとうございました」

「ううん、本当に気にしないで。あたしもされてたんだし」

「でも、ケガまでさせちゃって……」


女子高生が申し訳なさそうに見つめる先には、あたしの膝。


サラリーマンが往生際悪く暴れたせいで、鞄か何かがあたったみたいで少し血が出てた。

いち早くそれに気付いたアリサさんが、ブーツを汚しそうだった血をハンカチで拭いてくれて。

今は、警察の人にもらった絆創膏が貼られていた。


女子高生が、深々と頭を下げるから、逆に恐縮してしまう。

あたしが大げさに両手を振る横で、アリサさんはにこりときれいに微笑んだ。


「ほら。早く行かないと、痴漢のせいで二時間も授業受けられなくなっちゃうよ。

あたし達の事は本当に気にしなくていいから、気をつけて学校に行ってね」


最後にもう一度ペコリと頭を下げた女子高生を、手を振って見送って……。

アリサさんと顔を合わせる。


「とりあえず、あたし達も大学行かないと」

「あ、そうですね……」