「あ、アリサさん……?!」
「え……瑞希さん?!」
驚いた顔のアリサさんに見つめられて、声が出なかった。
なんで、アリサさんが……、っていうか、アリサさんって痴漢とか捕まえるキャラだっけ?
思わず痴漢の事も忘れて、ぼう然としていたけど、暴れ出した痴漢にハッとして押さえ込む。
男相手に女が勝てる方法、こないだ確かテレビでやってて、こうやって手を……。
アレ?
アレ、ちょっと、なんか違う……。
暴れる痴漢の手首を返そうとするも、全然痛そうじゃない痴漢に首を捻る。
そうこうしているうちに、あたしの手を痴漢が振り払おうとして……。
「あ、何やって……もうっ! 誰か、この人痴漢ですっ!!
捕まえてくださいっ!」
アリサさんの声で、周りに集まってきていた乗客が次々に一歩踏み出す。
時間帯がよかったのか、サラリーマンが多かった電車の中で、痴漢男は無事確保されて駅員に渡された。
あたしとアリサさん、痴漢されていた女子高生は事情を話して解放された。



