ジュリエットに愛の花束を。



いつの間にか隣に座っていた樹に首を傾げると、大きなため息をつかれる。


「さっき。瑞希が『ライバルとしては……』とかぶつぶつ言ってたところで帰ってきて、しかも声もかけたのに気付かねぇし」

「……ごめん」

「あ? いや、別にいいけど。

……どうしたんだよ。おまえがこんな事で素直に謝るとかっておかしいだろ」

「……」


声をかけてきてくれたのに、それを無視しといて謝りもしないのが普通なんだ。あたしって。

……ますます凹むし。


せっかく一人で考え込んでプラス方向に向き始めた思考が、また急落下する。

小さくため息を落とすと、樹が心配そうに覗き込んできた。


「瑞希? 本当におかしいけど、何かあった?」


いつもはしないような、真剣な瞳があたしを映す。

不安そうに見つめる樹に、戸惑いながら言葉を探す。


別に言わない理由はない。

アリサさんに宣戦布告されたって言えばそれでいいんだし。


……けど。


なんかそれってフェアじゃない。

アリサさんは、イヤミな言い方ではあったけど、あたしにわざわざ宣戦布告しにきたのに。