「あたし、椎名くん狙ってるの。結構前から。
だから瑞希さんがどんな子なのか知りたくて、こうしてお話してたりしたけど……。ちゃんと言っとくね。
椎名くん、落とすつもりでいるから」
「……」
「だから、椎名くんがどっちを選んでも、恨みっこなしで行きましょうね。
……よろしくね、瑞希さん」
すでに勝ち誇ったような笑顔で宣戦布告をしたアリサさんに、あたしも皐も言葉が出なかった。
ただただ、小さくなっていく後ろ姿を視線で追って……。
アリサさんが角を曲がったところで、ようやく声が戻る。
「……なにあれ」
「わかんない……。わかんないけど、すごいね、あの人」
「っていうか、皐が正々堂々と、とか言うからじゃない? なにこの状況……」
「だってまさかあんな切り返しがくるなんてさー……えー、ちょっと、どうすんの?」
二人で、誰もいない廊下を見つめながら言って。
そこで皐が勢いよく振り向いた。
「っていうかおかしいでしょ! 彼女相手に、なにあの余裕顔!! なんか絶対にもう勝った気分でいるってっ!
ちょっとー……絶対に負けないでよね」
肩を持ってあたしを前後に揺らす皐に、何も答えられなかった。
なんか、頭が回らない。



