いつかは着いてしまう電車は、時間が来たらやっぱり徐々に速度を落として誰もいない駅で大きな音を響かせて止まった。
終わりを私に告げるように。もう終わりだよ、と。

何も言わずに開かれたドアには、私と彼が並んで降りる。

まだ何も話せないまま切符を箱に入れて迎えに来たおじいちゃんの車を探す、そんなふりをして彼を捜す。

改札を出て私と同じように迎えが来ているのかきょろきょろとあたりを見渡している彼に、小さく呟いた。


「バイバイ」


電車を降りたら別々の道。
今度、この駅から帰るときは……元気になって、笑顔で帰ってね。



もう会うことはないだろう。それだけの出会いだったのだから。名前も知らないし次に会ったときにもう顔もわからないかもしれないし。


だけどこれだけは覚えてると思う。
あんたには笑顔のが似合うよ、絶対。


もう会えないんだ。踵を返して、迎えの車を探そうとしたけれど、背中が気になって仕方ない。


もう会えないんだ。こんな出会いもうあるはずがない。
それでいいの?
何があるわけじゃない。何があったわけでもない。

好きとかそんなのは、まだわからない。
ただ、気になる。









「あの……」


勇気を出して、振り返ると同時に声を掛ける自分の声に重なるように男の子の声も聞こえた。


振り向いて、私を見てる男の子。

振り返った私を見て彼は、吹き出したように笑った。そんな彼につられるように私もほほえみ、一歩、互いに、同時に、踏み出した。

電車で見知らぬあなたと二人旅。
知らないあなたと知らない私と電車で二人旅。



いつまで?
どこまで?
到着駅は?
辿り着いたらどうなるの?

辿り着いたら、そこからは自分の足で進みだす。

旅を続けるも、やめるも自分次第。

次は歩いて、二人旅




End