私の足はそのままショコラに向かった。

この気持ち、伝えたい人がいる。
優しい人、温かい人。
多分、今一番好きな人。

マサさん。

マサさんに、会いたい。


「……え?」


喫茶店ショコラの前、険しい顔をして言い合いをしているのは、マサさんと詩子さん。
激しく何か怒鳴る詩子さんの腕を、マサさんが困った顔で掴んでいる。

ドキン。

心臓が痛い。

二人の距離が近い。
元々、仲も良さそうだった。

どうしたっていうんだろう。
足がすくむ。

二人の中に入って行けない。

マサさん。
あなたは、詩子さんが好きなんですか?

胸の痛みが止まらない。
それ以上、足を進めることができなかった。