「じゃあ、自分の思う通り頑張ってみなさい」


詩子さんは、強く私の背中をたたくと「休憩終わり!」といって再びエプロンをつけた。

私も、動き出さなきゃいけない。
優しい人たちに助けられて、こんなにも力をもらったんだもん。

まずは徹と話す。
そしてその後、もし話せるなら沙紀と話そう。


「マサさん、詩子さん、ありがとうございました」

「あら、帰っちゃうの?」

「はい」


お金を出そうとするとマサさんが首を振った。


「いいよ。俺と詩子のおごりだから。……また、メールするから、おいでよ」


そういうマサさんの笑顔は優しい。
何故か少し泣きたいような気持で、でもそのそぶりは出さないように気をつけながら私は笑顔を作った。


「……はい!!」


動き出そう。
思い悩んでいるだけじゃ、何にも変わらない。

私に力をくれた人たちに、頑張った自分を見せたいから。