ショコラ



詩子さんは、私を見て「しまった」というような表情をした。

まあでも仕方ない。
徹にはそう言われても仕方ないところが確かにあるんだもん。

そして、それに気づかなかった私も、自業自得だ。


「で、それを聞いてあなたはどうしたいの?」


詩子さんは、やっぱりはっきりとした口調で私の眼を覗き込む。

どうしたいって……どうしたいんだろう。
自分でも分からない。

私が答えを言い淀んでいると、詩子さんが重ねて質問した。


「よりを戻したいの? それともすっきり忘れたいの?」

「おい、詩子」

「マサは黙ってなよ。
元彼の事を知りたいなんて、未練以外の何物でもないでしょ。

恋愛の終わりって大事なんだよ。
ちゃんと終わりに出来なきゃちゃんと次には進めないの。
あの元彼さんがそうじゃない」

「……詩子さん」

なだめようとしたマサさんを、詩子さんが一喝する。
でも彼女が言った一言は、私の中にすとんと落ちてきた。