詩子さんは、はっきりと物を言う人らしい。
ちょっと勢いに押されて私が黙ってしまうと、横からマサさんが助けてくれた。
「詩子。あの彼、いつから店にきてるんだ?」
「え? ああ、……もう3年くらいになるわよ」
「そんなに前から?」
「ええ。一番最初はね、すごい年上の人と一緒だったの。
彼女とは長かったと思う。
1年くらい通いつめてたかな。
でも不倫かなってバイトの亜美ちゃんとは噂してたんだけど。
だって相手の女の人、左手の薬指に指輪してたし」
「そうなんだ」
「結局あれでどっか壊れちゃったのかもしれないね。
その時もさ、相手の年上の女がボロ泣きして、店の中が騒然となったから良く覚えてる。
あんなことしたら絶対もう来ないだろうって思ってたのに、一か月もしないうちに違う女連れてきて。
それからは長くて半年かな。まあでも、よくすぐ次の女が見つかるよね。……って、あ、ごめん」



