「ふーん。マサ、やるじゃん。で、なんであたしを呼んだ訳?」
詩子さんは、お店での静かなイメージとはまるで違ってた。
表情もくるくる変わって、年上のようなのに可愛らしい。
「彼女が、あのいっつも窓際の席に座るあいつの話を聞きたいって」
「え? ああ。あなたの元彼の」
「……はい」
「彼ならさっきまで居たわよ。また女の子と別れたみたい。水ぶっかけられて大騒ぎになったの」
「え?」
水ぶっかけられてって。
そんなひどい別れ話だったの?
「大丈夫だったんですか?」
「さあ? 自業自得でしょ。あなたの元彼だから、悪く言ったらいけないかもしれないけど、あんなにころころ女を変えるのはどうかと思うわ」
「そう……ですよね」



