「和美ちゃん、送れる?」

「あ、えっと。どれだっけ」

「借りてもいい?」


頷くと、お兄さんは手際よくアドレスの交換をしているようだった。


「今度、またケーキ食べてよ」

「はい。でも。……『ショコラ』には行けないです」

「だから、アドレス交換したんでしょ。休みの日に連絡するから、ここで、また会える?」

「え?」

「ケーキ、作ってきてあげるよ。この間のお詫び」

「……」


正直、驚いた。
なんでお兄さんが、
そこまでしてくれるの?

でも、なんだか嬉しくもあった。

だって。
彼と別れて。
相談できる友達もいなくって。

すごくすごく、寂しかったところだったから。

「……はい」

頷くと、お兄さんは優しそうな顔で笑った。