「何で忍がスケボーの彼だって知ってたのよ」

「何でって……忍くんは俺の兄貴と仲良いし、よくウチにスケボーで来てたから。ってか学校にスケボーで来るの忍くんしかいないし」

「そこまで知ってて何で言わなかったのよ!」


食堂で変な奴って言われちゃったじゃないの!!!


「だってのんが知らないフリするから」

「だってその方がいいって思ったから」

「何も良くないわよ!」


「だって……」と眉を寄せるのんを見下ろすと、のんはチラッとあたしを寂しげに見上げて口を開く。


「苺は、ロマンチックな出逢いに憧れてたでしょ?」

「…………」

「ほら、あの時に俺が忍くんだよって言ったら、苺的には物足りないかなって。あの時、苺は忍くんと話したわけじゃないし」

「の……のん……」

「ごめんね?」


なんていい子なの! 上目遣いが可愛すぎて腹立つけど!


「ま、まあ、そう言うことなら許してあげてもいいわよ」


頬に手をあてて俯きながら言うと、照れ臭くなってくる。


やだわのんったら。あたしのことよく分かってるんだからっ!