「………これから、楽しみだね? いつでもおいでよ。僕ずっと兄さんの所にいるから」



 そう言って、弥生はひらひらと澪に向かって手をふった。



 不思議。



 こんな事をして、弥生君は気まずくなったりしないのだろうか。





 仮にも、稚尋の家に居候してるのに。





 そう思い、ゆっくりと稚尋の方を見た。


 すでに弥生君はどこかに外出してしまったようだ。








 二人の視線がピッタリと合ったその瞬間。











 グイッ!!




「……わっ」





 稚尋の力強い腕に引かれ、澪は稚尋の腕の中にすっぽりとおさまった。





 まるで、小さな子供のように。


 涙は依然、止まらないまま。