なんて、笑ってる場合ではない。



「ママ!」



 男の子は、嬉しそうに澪に抱きつく。
 そして、だっこ、と両手を伸ばしてきた。




「ママって……!?」




 私は妊娠した覚えもなければママになった覚えもない。



 そもそも、高校生の私に、子供なんているわけがない。





 澪は次々と自分の頭の中で正論を打ち立てていく。



 そんな時、玄関のインターフォンが鳴った。










 ピンポーン。



「誰だろ、こんな朝から……?」




 今日家にいるのは澪だけだった。


 仕方なく、澪は自分を「ママ」と呼ぶ男の子を抱き上げ、来客を対応することにした。





 男の子は、抱き上げた瞬間、嬉しそうに微笑むと、澪にしっかりとしがみついてきた。





 どうやらしっかりなつかれてしまったらしい。





 元々子供が好きな澪は、思わずキュンと胸が高鳴った。










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