「何ですか、さっきから僕の事ジロジロと?」




 それに気がついた弥生が澪に尋ねた。








 これって、チャンス?

 澪は思い切って本題を持ち出した。







「……い、いや、やっぱ似てるなぁって思って」







「兄さんと、ですか……?」


 弥生が急に切なそうな表情を浮かべたせいで、澪は心がしめつけられた。






「ごめん」


 しかし弥生は言った。





「いいんです。僕は兄さんに嫌われて当然ですから」




「え……?」




「この際、全部話しちゃおうかな。澪さん、話聞いてくれます?」






 チャーンス!!!



「もっ……もも勿論!!」




「ありがとう……じゃ、珈琲でも買ってきます」











 そうして、澪は弥生と稚尋の本当の過去を、知る事になったのだった。





 二人は、人通りの少ない場所に移動し、小さな椅子に腰掛けた。






 後ろのコンクリートの壁がひんやり冷たく気持ち良かった。