澪は瞬時にそう感じた。






《………集中、してなさい!》







《フフフッ……はーい!》



 弥生君はわざとなのか、小さな子供のようにおどけて見せ、笑った。








 だけど……………。





 澪は気付く事が出来なかった。




 彼もまた、稚尋と同じ境遇にある事。


 そして。













《っ…………母さん…》



 映画に便乗して、見えぬようにこうして……







 弥生が泣いていたと言う事に。







 気付かなかったのだ。