この手で紡ぐ神の欠片




私は言われた通りに
階段を上がって突き当たり、
《詠人》
とプレートが下げられた扉の
ドアノブに触れた。


「失礼しまぁす」

そっと木製の扉を開ける。

「…綺麗つっーか、微妙」

部屋を見た
第一声がそれだった。

女の子がくるときぐらい
綺麗にしとけよ、お約束。
…そう思ったが、
思い付きだろうし
漫画じゃないしと
私は考えを改めた。

ベッドの下からはみ出た下品な雑誌。
めくれた布団と毛布。
勉強机の上や本棚は
対照的にとても綺麗で、
床にひかれた茶色の絨毯の上に
小さな木製のテーブルが
置かれていた。