この手で紡ぐ神の欠片




「何もしないから」

詠人が手を伸ばして
私の髪に触れた。

何度も染めたせいで、
少しパサパサとした茶色い髪。

音もたてずに、
彼は触れた後に手を離す。

そして、私の顔を見た。


足音、二人分。


「行きますか」

私がそう言うと、
彼は口元を和らげて、
嬉しそうに、
あぁ、と言った。