この手で紡ぐ神の欠片




「〈神を壊し、私が神となろう、北欧神話を織り、神話を紡ごう〉」

開いた本から、光の粒。

「フェンリル!」


そう高らかに私は言った。

ぐぁあ、と音がして
目の前には光の粒をまとった
大狼、フェンリルがいた。


「成功!―――いっ」

私はパチンと指を鳴らした後
胸元に痛みを覚えた。
それは、まるで針をぷすっと刺したような痛み。

『マスター』

低い声でフェンリルが言った。

私は胸元をおさえたまま

「もう大丈夫…気にするな」

そう笑った。

痛みは一瞬で消えていた。