「菜生、授業中寝るからさ」

頭をおさえる菜生に私は頼んだ。

詠人も前の席の男子に何か言っていた。

私は言った。


「ノート、よろしく」


その言葉は、私だけの声ではなかった。

恐ろしいほどピッタリと
詠人と被ってしまったのだ。

私と詠人は
恐る恐る顔を見合わせた。

しばらく見つめ合ってから
いつものように詠人が言った。