「本当?」

私は目を丸くして
フェンリルを見つめた。

巨大な体、
闇を写した瞳に私がいた。

…本当に喋るのかな。
見掛けは犬だけど…。

『喋りますよ、マスター』

――…不意に、耳に届いた
男性の声。

耳に響くような、男性の低音。

「フェン、ちゃん?」

私は確かめるよいに聞いた。