「……珠輝、どういうこと…?」
詠人は隣に立つ私を見ず、
自分の父親を睨みながら私に聞いた。
私はその表情を一瞥し、
淡々と言う。
「アタシの母子手帳の父親の欄に、天宮詠輝、と名前があったんだよ」
詠人の表情は変わらず、冷たい。
「アタシの母さんに聞くに、私の父親は天宮詠輝。母がアタシを生むと名前をつけて別れた…というか逃げた」
「じゃあ、珠輝」
詠人が私を見た。
お互い、視線を合わせる。
「僕らの父親は、同じで、腹違いの、きょうだい、ってこと…?」
静かに、紡いだ、詠人の言葉に
「うん」
私が頷くと同時に、
「どういうことだッ!!」
詠人が吠えて
自らの父親に掴み掛かった。



