この手で紡ぐ神の欠片




  *

私の後ろに詠人がつく形で、
階段を降りて
私はリビングに入った。


「お久し振りです。詠人のお父さん」

そう言って歪んだ唇。


こたつに入っていた
詠人の父、詠輝さんは
こたつから出て
張り付けたような笑みを浮かべ

「関係を絶ってと、言ったはずなのに」

私ではなく、詠人に向けて、
低い声で唸るように言った。

「ごめんね。惚れた女の子だから、無理なんだよ」

肩を竦めて、
いたずらっぽく詠人が言った。


「もうやめてくれ…!」

詠輝さんが頭を抑えて
低く乾いた声で言った。

「何をですか?」

私はわざとらしく
詠人の腕に自分の腕を絡めた。

これは詠輝さんにも、
私にも、
まだ知らない詠人にも、
残酷なこと。

「ごめんなさい。――アタシたちがきょうだいだって、知ってたんですよね?」

詠輝さんは俯いて、

詠人が私の隣で目を丸くした。