この手で紡ぐ神の欠片




しばらく、泣くと
私は徐々に落ち着きを取り戻した。

「…なんか、ごめん」

目を擦りながら、
詠人から体を離して私は言った。

「ううん、良いよ」

詠人はふざけずに、
そう答えた。

「………」

お互いが、押し黙った。

「詠人、キスして」

詠人は良いよというように笑うと
私の肩を抱いて
唇を1つにした。

簡単で優しい、淡いキス。

唇を離して、至近距離。
お互いの瞳の中のお互い。