この手で紡ぐ神の欠片




それから、静かになった。

その静けさを破ったのは詠人だった。

「なんでさ、来たくなったの?」

「………」

私は答えずに、
詠人の肩に頭を置いた。

私の茶色い髪が、サラ…と音をたてて滑り落ちた。

「……珠輝?」

彼はそう言って私の表情を伺った。

私は見られないように俯いて

「……なんでもないよ」

そう、声を出した。


この部屋の中だけが
世界のすべてで良いから
そばにいられたらと
馬鹿らしいことを

思ってしまった。