この手で紡ぐ神の欠片




私は冷たくなっていた手で
ぎゅっとスカートを握って俯いた。

「どうしましたか」

少しはぐらかすように、
詠人が言って
私の頬に手をあてて顔を上げさせた。

すぐ近く、詠人の顔。

真っ直ぐな視線、眼鏡越し。

屋上を走る風、冴える。

「なんでもないっつの」

乱暴に私は言って、うぅ、と唸る。

「嘘つけ」

詠人がそう言って、
更に距離を近付けた。

――キス、そう思った瞬間
何故か頭から血の気が引いた。

唇をぐっと引き結んだが、
空振りだった。