この手で紡ぐ神の欠片




  *

「やぁ、珠輝」

公園には、先客がいた。

ブランコに座っていて、
私の姿を見付けると
その人物は立ち上がり
私に手を振りながら
歩み寄ってきた。

「あら詠人。…ぐ、偶然?だよね」

「まさか。――運命だよ」

詠人が私の手を握った。
冬の空気に触れていて
お互いの手は冷たかった。

「さぁこの結んだ手を愛で温め――」

「死ね冷めろ」

私は手を振りほどき
彼の腹に拳を食わせた。

「いったいなー…7割冗談だよ」

痛くなさそうに、
詠人が笑いながら言う。

「残り3割なんだよ」

馬鹿馬鹿しくて
笑ってしまった。