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「やぁ、珠輝」
公園には、先客がいた。
ブランコに座っていて、
私の姿を見付けると
その人物は立ち上がり
私に手を振りながら
歩み寄ってきた。
「あら詠人。…ぐ、偶然?だよね」
「まさか。――運命だよ」
詠人が私の手を握った。
冬の空気に触れていて
お互いの手は冷たかった。
「さぁこの結んだ手を愛で温め――」
「死ね冷めろ」
私は手を振りほどき
彼の腹に拳を食わせた。
「いったいなー…7割冗談だよ」
痛くなさそうに、
詠人が笑いながら言う。
「残り3割なんだよ」
馬鹿馬鹿しくて
笑ってしまった。



