「やっべー!楽しいっ!」
私は考えを振り切るように
高く声を張り上げた。
――もっと、高く、高く、高く!
「やばっ!スカートめくれる!」
あまりにも興奮していたせいか
そんなことに気が届かなかった。
「珠輝ナイス!」
詠人が笑った。
「うっさい!」
私はそう言って
慌ててブランコを止めた。
ジャッ、ジャッ、と
靴の底が土に擦れて
ブランコの勢いが落ちる。
「――とぅっ!」
揺れるスカート。
なびく髪の毛。
私は揺れが小さくなると
ブランコから飛び降りて、
着地をした。
詠人も私から少し遅れて、
ブランコの動きを止めると
上品に地に足を置いた。



