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私の人生の年表があるなら、
これはその歴史に
刻まれるべき告白だった。


「…まじっすか、詠人さん…」

私は頭をおさえて呻いた。

「すみませんねぇ、姫さん」

悪びれた様子もなく、
私の肩に詠人の手がまわされた。

「――…言えよ、馬鹿」

私は弱々しく言った。

「弱気な声もそそるよ」

「…殺して良い?」

私は睨んだ。
確かに苛ついたが、
まわされた腕をはらうほど
苛ついてはいない。

「けど珠輝が北欧神話の〈創造主〉とは思わなかったなぁ」

詠人はケルべロスを戻し、
私から体を離すと
公園の少し錆びたブランコに腰を下ろした。