「けどその反応は――」

そう言いながら、
詠人がケルべロスに触れた。

そう、触れたのだ。

「気付いてるんだよね?こいつに」

ケルべロス、と
詠人が呟いた。

『我が〈創造主〉よ』

ケルべロスが
恭しく3つの頭を垂れた。


私は目を見開いて、
言葉も失った。

ただ驚いたような、
固まった私に詠人は告げた。

「僕はギリシャ神話の〈創造主〉、そして聖書でさえ僕は使う」



その顔に浮かぶは、
狂ったと思えるほどに
綺麗な綺麗な笑顔だった。